考えたことしか実現しない

キャッチアップ画像は「ウサイン・ボルト」を手話で表すとこうなる、というもの。この画像と、本稿の内容には何の関係もないことを、先に付しておきます。さて、8月17日から21日にかけて、角川ドワンゴ学園 N高等学校生の「武雄市図書館司書体験」の研修に随行してきました。

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出所:武雄市図書館HPより転載

現在、N高のコンサルタントを務めていることからのご縁なのですが、今回、ぼくが随行した意味としては2点あって、一つは職業体験プログラムの現場検証という意味。もう一つは、N校生が行うグループワークのファシリテーターとして、より歳の近い大学生をマッチングさせてみたい、というドワンゴ社の思惑から、九州大学の学生1名をアテンドしたからでした。

プログラム策定から関わっているものの、N高校にとっても、ぼくにとっても新しいチャレンジ。今だから言えることですが、研修がスタートする前は、全国散り散りバラバラに生活している通信制高校の男女が、「司書」という一見地味な職業を通して5日間、無事に乗り切れるのかどうか、主催側のドワンゴ、受け入れ側の武雄市図書館の職員、そして参加者と、おそらく関係者全員が不安を抱えたままスタートしたと思います。

しかし、蓋をあけてみれば、初日、2日目の前半こそ戸惑いはあったものの、5日間を通してみれば、徐々に心を開いていく生徒たち、そしてそれと同時に、人間的にも大きな成長をしていく思春期の青年たちの心模様、最後は一端に仕事をする姿と、いろんなストーリーを見せてくれました。若者とは、わずか1週間でこんなにも成長していくのか、ということを肌で感じさせられたのです。感動的ですらありました。まだ今年スタートアップしたばかりのプログラム。それも広島県・庄原市、山口県・長門市に続いて3例目を終えたばかりですが、我ながら教育に関するキラーコンテンツが出現した、という、そんな自負を抱いています。

途中、会議のため東京へと中抜けしたのですが、4日目、最後の晩に、生徒たちが気になることを口にしていました。

「どうせ、おれたちはN高だから」

と。「通信制高校」に対するイメージが、そうさせるのでしょうか。「普通高校」に行かなかったことに対する親への負い目でしょうか。

「では、将来は何か夢はないの?」

と問うと、目を輝かせて「おれは鉄道マンになりたい」、「わたしは漫画家になりたい」と各々に目標を、しっかりと抱いているのです。もう一つ気になったのは、意外に、人のことを気にしていたんですね。「あの人は自分よりできる人だ」、「オレは、あいつよりは仕事ができている」と、そんなことは関係ないじゃないか。その場で、ぼくが彼らに送った言葉は、

「ひとつだけ確実に言えることがある。それは”考えたことしか実現しない”ということだ」

「みんなが、何となく生きていて、何も考えていない人間だったら、絶対にこの佐賀の武雄まで来ることはできなかったはずだ。北は宮城県・仙台、南は鹿児島県・奄美から、まったく違う家庭、環境で育った5人が、「よし、武雄に行こう」と思って集まった、この意志をもっと重く受け止めた方がいい。武雄に行こうと考えて、武雄に来れたように、どこかへ行こうと強く想うことだ。」

というものでした。それぞれに、素直に受け止めてくれていたようでしたし、頭も良く理解も早い。

すべての研修が終わったあとの講評の席では、魯迅の言葉を贈らせていただきました。

「わたしの前に道はなく、わたしの後に道ができるのだ」

(了)

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